不動産の査定価格はどうやって決まる?査定額が会社によって違う理由

査定

不動産を売却しようと考え、不動産会社へ査定を依頼すると、

「この査定価格はどうやって決めているの?」
「不動産会社によって査定額が違うのはなぜ?」
「一番高い査定額を出した会社にお願いした方がいい?」

と疑問に思われる方も多いと思います。

同じ不動産を査定しても、不動産会社によって査定価格が異なることがあります。

これは必ずしも、どこかの不動産会社の査定が間違っているということではありません。

不動産の査定では、周辺の成約事例や現在の売出物件、土地・建物の状態、立地条件など、さまざまな情報をもとに価格を算出します。

この記事では、不動産の査定価格がどのように決まるのか、査定額が会社によって違う理由や査定価格を見るときの注意点について分かりやすく解説します。


① そもそも「査定価格」とは?

不動産の査定価格とは、簡単にいうと、

「この不動産であれば、これくらいの価格で売却できるのではないか」

と不動産会社が物件の状況や市場などを調査して算出する価格です。

ここで重要なのが、査定価格 = 実際に売れる価格ではないということです。
例えば、不動産会社から、査定価格:3,000万円と提示されたからといって、
必ず3,000万円で売却できるわけではありません

実際の売却価格は「売主」と「買主」との間で売買条件を調整し、最終的に合意した金額になります。

査定価格は、売却を検討するときの価格の目安の一つと考えると分かりやすいでしょう。


② 不動産会社は何を見て査定する?

不動産の査定では、さまざまな項目を確認します。

例えば、土地の場合は

・所在地
・周辺環境
・土地面積
・土地の形状
・接道状況
・間口
・方角
・高低差
・用途地域
・建ぺい率
・容積率
・境界の状況
・上下水道などの設備
・周辺の成約事例

などを確認します。

戸建ての場合は、土地の条件に加えて、

・建物の築年数
・建物面積
・間取り
・建物の状態
・リフォーム履歴
・駐車場
・日当たり
・設備の状態

なども確認します。

マンションの場合は、

・所在地
・築年数
・専有面積
・間取り
・所在階
・方角
・眺望
・日当たり
・管理状態
・管理費
・修繕積立金
・駐車場
・同じマンションや周辺マンションの成約事例

などを確認します。

不動産は一つとして全く同じものがないため、複数の条件を比較しながら査定価格を算出していきます。


③ 周辺の「成約事例」も重要

査定するときに重要な情報の一つが、過去に実際に売買された不動産の価格です。

例えば、査定する土地の近くで、

土地面積:200㎡
成約価格:2,000万円

という取引があったとします。

単純に計算すると、

2,000万円 ÷ 200㎡ = 10万円/㎡となります。

ただし、

「近くの土地が1㎡10万円で売れたから、この土地も1㎡10万円」と単純に決められるわけではありません。

同じ地域でも、

・道路の幅
・土地の形
・方角
・高低差
・間口
・建築条件
・周辺環境

などが異なるためです。

そのため、成約事例を参考にしながら、査定する不動産との違いを比較して価格を検討します。

なお、一般の方でも国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、不動産の取引価格や成約価格などを確認できます。


④ 「売出価格」と「成約価格」は違う

不動産情報サイトなどを見ると、

「この地域では3,500万円で売りに出ている」

といった情報を確認できます。

しかし、その3,500万円は売出価格です。

実際に3,500万円で売れたとは限りません。

例えば、

売出価格:3,500万円

販売状況を見て価格変更

価格変更:3,300万円

販売状況を見て価格変更
購入希望者との価格交渉

成約価格:3,200万円

となることもあります。

そのため、不動産を査定するときには、現在売りに出ている物件の価格だけではなく、実際にいくらで成約したのかという情報も重要になります。


⑤ なぜ不動産会社によって査定価格が違うの?

同じ不動産でも、

A社:2,800万円
B社:3,000万円
C社:3,300万円

というように、査定価格が異なることがあります。

主な理由として、

・比較する成約事例が違う
・物件の評価方法が違う
・土地や建物の条件に対する評価が違う
・現在の市場に対する見方が違う
・想定する売却期間が違う
・その地域での販売経験が違う

などが考えられます。

査定価格は、固定資産税評価額のように一つの金額が決められているものではありません。

そのため、不動産会社によって一定の差が出ること自体は珍しいことではありません。

ただし、査定価格に大きな差がある場合には注意が必要です。

比較している成約事例が異なることや、類似性の低い物件を参考にしていることなどによって、査定価格に差が生じている可能性があります。

また、媒介契約の受託を目的として、相場より高い査定価格が提示されるケースも考えられます。

査定価格に大きな差がある場合ほど、「なぜこの価格なのか」という根拠を確認することが重要です。


⑥ 一番高い査定価格を出した会社に頼めばいい?

ここは特に注意したいところです。

例えば、

A社:2,800万円
B社:3,000万円
C社:3,500万円

だった場合、

「C社が一番高く売ってくれそう」

と思うかもしれません。

しかし、査定価格は不動産会社が買い取る金額ではありません。

仲介による売却の場合、実際にその価格で購入してくれる買主を探す必要があります。

仮に3,500万円で売り出しても、購入希望者が現れなければ、

3,500万円

3,300万円

3,100万円

と価格を変更することになる可能性もあります。

そのため、査定額を見るときには、

「いくらと査定されたか」だけではなく、「なぜその価格になるのか」を確認することが重要です。


⑦ 査定価格が高すぎると何が問題?

売主としては、できるだけ高く売却したいと思うのは当然です。

そのため、少し高めの価格から販売を始めること自体が必ず悪いわけではありません。

ただし、市場価格から大きく離れた価格で売り出すと、

購入希望者から「相場より高い」と判断され、問い合わせが少なくなることがあります。

その状態が長期間続くと、何度も価格変更を行うことになり、「長い間売れていない物件」という印象を持たれる可能性もあります

査定価格だけでなくどの価格で売り出し、どのくらいの期間で売却を目指すのかまで考えることが重要です。


⑧ 「査定価格」と「売出価格」は同じ?

同じではありません。

例えば、査定価格:3,000万円だったとしても、「急いでいないので、まず3,200万円から販売したい」と売主が考える場合もあります。

反対に、「できるだけ早く売却したい」という場合には、査定価格を参考にしながら、競合物件の状況なども考えて売出価格を決めることがあります。

違いを整理すると、

(1)査定価格(不動産会社が算出した売却価格の目安)
(2)売出価格(実際に市場へ出すときの販売価格)
(3)成約価格(最終的に売主と買主が合意した売買価格)

となります。

この3つを分けて考えると分かりやすいでしょう。


⑨ 「机上査定」と「訪問査定」の違いは?

不動産査定には、大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」があります。

机上査定

現地を訪問せず、

・所在地
・面積
・築年数
・周辺の成約事例(過去の事例)
・市場の状況(現在の売出し状況)

などの情報をもとに査定する方法です。比較的短時間で査定結果を確認できるのが特徴です。

但し、現地を確認をしていない為、価格提示には明確な根拠が必要になります。

査定価格の基本は、同条件や類似案件での「過去の成約事例価格」「現在の売り出し状況」によります。

訪問査定(本査定)

不動産会社が実際に物件を訪問し、

・建物の状態(雨漏り跡、目視できる劣化、傾きを感じる箇所、水回りや外壁などの状態)
・日当たり(各部屋の日当たりが悪くないか)
・眺望(前面が遮られてないか、高層階、周囲に建築され眺望が悪くならないか)
・接道状況(間口、幅員)
・境界(越境、境界標があるか)
・高低差(ガケ条例、擁壁の破損など)
・周辺環境

など、資料だけでは分かりにくい部分も確認して査定します。

実際に売却を具体的に検討する段階では、訪問査定によって物件の状態を確認してもらうことが重要になります。

※訪問査定は建物状況調査(インスペクション)ではありません。不動産会社による査定時の確認と、専門家による建物の調査は異なります。


⑩ 査定を依頼したら何を確認すればいい?

査定書を受け取ったら、金額だけを見るのではなく、

「なぜこの査定価格になったのか」を確認してみましょう。

例えば、

・どの成約事例を参考にしたのか
・近隣の売出物件はいくらなのか
・土地・建物のどこを評価したのか
・マイナス評価となった部分はあるのか
・どのくらいの売却期間を想定しているのか
・いくらで売り出すことを提案しているのか

などです。

特に複数の不動産会社へ査定を依頼した場合には、査定価格だけを比較するのではなく、その価格になった根拠を比較することが重要です。


よくある質問 Q&A

Q. 査定価格で必ず売却できますか?

いいえ。

査定価格はあくまで「売却価格を検討するための目安」です。

実際の成約価格は、市場の状況や購入希望者との価格交渉などによって変わります。

中には媒介契約を受託したいという成績の為に、査定価格を釣り上げてあたかも当社は高く売れますというような営業をする方がいらっしゃいます。

売主も、過去の事例」「現在の販売状況」をしっかり理解して把握することで、その金額では厳しいだろうという「相場観」がついてくると思います。一括査定の魅力はその感覚を各営業マンから聞いて自分の知識にできる所がよいです。

Q. 査定価格が高い会社ほど販売力が高いのですか?

必ずしもそうではありません。

査定価格」と「不動産会社」の販売力は別のものです

査定額だけではなく、査定根拠や販売方法なども確認しましょう。

また、実際の売却活動では会社だけでなく、担当する営業担当者の知識・経験・提案力・対応力なども重要です。

Q. 査定は無料ですか?

不動産会社が売却相談の一環として行う査定は、無料で行われていることが一般的です。

一方、不動産鑑定士による不動産鑑定評価とは別のものです。

Q. まだ売却するか決めていなくても査定できますか?

不動産会社によって対応は異なりますが、売却を検討するために査定を依頼することもできます。

まず現在の価格を確認してから、実際に売却するか判断する方法もあります。

特に一括査定する場合は、

・具体的に売却を検討している
・売却時期はまだ決まっていない
・まずは価格を知りたい

など、現在の状況を不動産会社へ伝えておくとよいでしょう。

売却時期や目的を伝えることで、不動産会社側も状況に合わせた説明や提案をしやすくなります。


まとめ

不動産の査定価格は、単純に土地の面積や建物の築年数だけで決まるものではありません。

・周辺の成約事例・現在の売出物件・土地・建物の状態・立地条件・現在の不動産市場

など、さまざまな情報をもとに算出されます。

また、同じ不動産でも不動産会社によって査定価格が異なることがあります。

重要なのは、一番高い査定価格を選ぶことではなく、その査定価格にどのような根拠があるのかを確認することです。

そして、

査定価格 ≠ 売出価格 ≠ 成約価格

という違いも理解しておきましょう。

不動産を売却するときには、査定価格だけで判断せず、査定根拠や売却方法についても確認したうえで不動産会社を比較することが大切です。

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