不動産を売却するために専任媒介契約を結んだものの、
「なかなか売れないので一般媒介に変更したい」
「契約期間中でも変更できる?」
「ほかの不動産会社にも依頼したい」
「3か月経たないと変更できない?」
と考える売主もいるでしょう。
結論からいうと、専任媒介契約から一般媒介契約へ変更することは可能です。
ただし、現在の専任媒介契約がまだ有効期間中なのか、期間満了を迎えるのかによって考え方が変わります。
「専任媒介契約の有効期間中」は、原則としてほかの不動産会社へ重ねて媒介を依頼することはできません。国土交通省の標準専任媒介契約約款でも、契約期間中に他の宅地建物取引業者へ重ねて依頼できないことが定められています。
そのため、
専任媒介契約中
↓
そのまま他社にも売却を依頼
↓
一般媒介になった
というわけではありません。
この記事では、専任媒介から一般媒介へ変更する方法と、契約途中で変更したい場合の注意点について解説します。
- ■専任媒介から一般媒介に変更できる?
- ■「専任媒介」と「一般媒介」は何が違う?
- ■「専任媒介契約」の期間は、何ケ月?
- ■3か月経ったら自動的に一般媒介になる?
- ■専任媒介の契約途中でも一般媒介に変更できる?
- ■契約期間中に勝手に他社へ依頼するとどうなる?
- ■途中で専任媒介を解除できる?
- ■途中解除すると費用を請求されることはある?
- ■期間満了まで待った方が変更しやすい?
- ■売れないなら一般媒介に変えた方がいい?
- ■まずレインズの登録状況を確認する
- ■一般媒介にすれば複数の不動産会社が広告してくれる?
- ■一般媒介に変更するメリット
- ■一般媒介に変更するデメリット
- ■一般媒介には明示型と非明示型がある
- ■専任媒介を変更する前に不動産会社へ確認すること
- ■専任媒介から一般媒介へ変更する流れ
- ■よくある質問 Q&A
- ■まとめ
■専任媒介から一般媒介に変更できる?
「専任媒介」から「一般媒介」へ変更すること自体は可能です。
分かりやすいのは、現在の専任媒介契約の有効期間が満了したときです。
専任媒介契約
↓
有効期間満了
↓
専任媒介を更新しない
↓
一般媒介契約を締結
「専任媒介契約」は、期間が満了したら必ず同じ契約を更新しなければならないものではありません。
国土交通省の標準専任媒介契約約款では、更新は依頼者と宅建業者の合意に基づいて行い、更新する場合は期間満了時に依頼者から文書で申し出る仕組みとなっています。
したがって、専任媒介を更新せず、一般媒介へ切り替えることができます。
■「専任媒介」と「一般媒介」は何が違う?
大きな違いは、複数の不動産会社へ同時に媒介を依頼できるかどうかです。
【専任媒介】
依頼できる不動産会社 原則1社
自己発見取引 可能
レインズ登録 必要
【一般媒介】
依頼できる不動産会社 複数社可能
自己発見取引 可能
レインズ登録 法律上の義務なし
国土交通省の標準媒介契約約款でも、専任媒介では他社へ重ねて依頼できない一方、一般媒介では他の宅地建物取引業者へ重ねて依頼できる契約型式として整理されています。
そのため、
1社に任せたい
→ 専任媒介
複数社へ同時に依頼したい
→ 一般媒介
という違いがあります。
ただし、どちらが必ず売れやすいというものではありません。
私の経験上、売却しやすいエリアや問い合わせが多く見込める物件であれば、一般媒介でも複数の不動産会社から購入希望者を集めやすい場合があります。
一方、問い合わせ自体が多くないエリアや、相場より高い価格での売却を目指す場合は、専任媒介や専属専任媒介で1社としっかり販売活動を行う方法も検討した方がよいでしょう。
専任媒介では1社が窓口となるため、物件調査や販売方法、買主への説明などについて、担当者と継続的に相談しながら進めやすいという面があります。
「一般媒介なら売れやすい」「専任媒介なら売れやすい」と一律に決めるのではなく、物件の地域、価格、問い合わせ数などを考えて選ぶことが重要です。
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いと選び方についてはこちらで詳しく解説しています。
■「専任媒介契約」の期間は、何ケ月?
専任媒介契約では、有効期間は3ケ月を超えることができません。
3か月を超える期間を定めても、法令上の上限との関係でそのまま有効期間が延びるわけではありません。
実際に国土交通省の行政処分情報でも、専属専任媒介契約書に「物件引き渡しまで」と記載し、3か月を超える可能性のある有効期間を設定したことが問題とされた事例があります。
一般的には、
媒介契約締結
↓
最長3か月
↓
期間満了
↓
更新する
または
更新しない
という流れになります。
■3か月経ったら自動的に一般媒介になる?
なりません。
これは勘違いしやすいところです。
専任媒介の期間満了
↓
自動的に一般媒介へ変更
ではありません。
一般媒介へ変更したい場合は、専任媒介を更新せず、あらためて一般媒介契約を締結します。
複数の不動産会社へ依頼する場合は、それぞれの会社との間で媒介契約を確認することになります。
■専任媒介の契約途中でも一般媒介に変更できる?
ここが今回の記事で最も重要な部分です。
現在の専任媒介契約について、不動産会社との合意により終了させ、一般媒介契約へ切り替えることは考えられます。
例えば、
専任媒介契約中
↓
売主から変更を相談
↓
不動産会社と協議
↓
現在の専任媒介契約を終了
↓
一般媒介契約へ変更
という方法です。
一方で、売主が「今日から一般媒介にします」と一方的に宣言して、そのまま他社へ依頼すればよいとは限りません。
まず現在締結している専任媒介契約書と約款を確認する必要があります。
■契約期間中に勝手に他社へ依頼するとどうなる?
専任媒介契約では、契約期間中に他の不動産会社へ重ねて媒介を依頼することはできません。
国土交通省の標準専任媒介契約約款では、専任媒介契約の有効期間中に他社へ媒介・代理を依頼し、それに違反して売買契約を成立させた場合、宅建業者が約定報酬額相当額の違約金を請求できる旨が定められています。
したがって、
A社と専任媒介契約中
↓
A社に何も言わず
B社へ売却を依頼
↓
B社の買主と成約
という進め方は避けるべきです。
一般媒介へ変更したい場合は、先に現在の専任媒介契約の扱いを整理しましょう。
■途中で専任媒介を解除できる?
「一般媒介へ変更したい」という問題と「現在の専任媒介契約を解除できるか」という問題は分けて考える必要があります。
例えば、不動産会社が媒介契約上の義務を履行していない場合などには、契約解除が問題になることがあります。
国土交通省の標準専任媒介契約約款では、相手方が契約上の義務を履行しない場合、相当期間を定めて履行を求め、それでも履行されなければ解除できる旨が定められています。
また、宅建業者が媒介業務について誠実に遂行する義務に違反した場合など、売主から解除できる場合についても規定されています。
ただし、
売れない
=いつでも無条件で解除できる
と単純に考えるのは適切ではありません。
実際の契約書と解除理由を確認する必要があります。
■途中解除すると費用を請求されることはある?
可能性があります。
国土交通省の標準専任媒介契約約款では、宅建業者の責任ではない事情によって専任媒介契約が解除された場合、媒介契約を履行するために要した費用について、宅建業者が償還を請求できる旨が定められています。
その費用額は、約定報酬額を超えないものとされています。
そのため、
専任媒介を途中解除
=必ず無料
とは限りません。
変更を希望する場合は、
・媒介契約書
・媒介契約約款
・解除に関する条項
・広告など特別に依頼した費用
・これまでの販売活動
を確認しましょう。
売主から見ると「案内も少ないのに、それほど費用がかかっているの?」と思うこともあるかもしれません。しかし、販売活動では内覧対応以外にも、次のような業務が行われています。
・物件資料の作成・管理
・ポータルサイトへの登録
・間取り図の作成
・写真撮影
・購入希望者からの問い合わせ対応
・住宅ローンに関する相談
・現地調査
・役所調査
目に見えない準備や事務処理の多さを理解されていない売主さまがたくさんいらっしゃいます。
特に相場より高い価格で販売している場合は、問い合わせ自体が少ないこともあります。
案内件数だけで不動産会社の販売活動を判断せず、どのような活動を行っているのか確認したうえで、媒介契約を変更するか検討するとよいでしょう。
■期間満了まで待った方が変更しやすい?
一般媒介へ変更したい理由に緊急性がなければ、現在の専任媒介契約の満了時に更新しない方法は分かりやすい選択肢です。
専任媒介契約
残り2週間
↓
期間満了
↓
更新しない
↓
一般媒介へ変更
この場合、契約途中の解除をめぐる問題を避けやすくなります。
ただし、不動産会社の対応に問題がある場合などは、期間満了まで必ず待たなければならないとは限りません。
状況に応じて現在の契約内容を確認しましょう。
■売れないなら一般媒介に変えた方がいい?
専任媒介で売れないからといって、一般媒介へ変更すれば必ず売れるわけではありません。
変更する前に、なぜ売れていないのかを確認することが重要です。
例えば、
・売出価格が相場より高い
・問い合わせが少ない
・内覧はあるが申込みが入らない
・物件写真が少ない、または印象が悪い
・広告内容が十分ではない
・販売対象となる買主層が狭い
・物件自体に売却しにくい要因がある
といった原因が考えられます。
売出価格が相場より大幅に高いのであれば、不動産会社を増やしても状況が変わらない可能性があります。もちろんですが、営業マン事態に希望を感じなければ変更で構わないと思います。但し、販売物件のポテンシャルや、価格が、お客様から選ばれにくい状態であれば、価格相談や故障部分を補修や交換して募集、部屋を片付けて見た目をよくするなどの、売主の努力も非常に大事と思います。
また、不動産会社を変更するだけでは解決しない場合もあります。
売出価格が相場より高い、室内に荷物が多い、設備に故障があるなど、買主から選ばれにくい原因がある場合は、
・売出価格を見直す
・故障している設備を修理・交換する
・室内を片付ける
・物件写真の印象を改善する
など、売主側でできる対策も検討してみましょう。
不動産会社へすべて任せるのではなく、担当者と一緒に「どうすれば売れやすくなるか」を考えて販売活動を進めることも大切です。
■まずレインズの登録状況を確認する
専任媒介契約では、宅建業者に指定流通機構(レインズ)への登録義務があります。
そのため、
「ほかの不動産会社にも情報が広がっていないのでは?」
と不安になった場合は、まずレインズへの登録状況を確認しましょう。
専任媒介
↓
レインズへ登録
↓
他の不動産会社も
物件情報を確認できる
↓
他社が買主を紹介することも可能
つまり、専任媒介だからといって、専任媒介を締結した1社だけが買主を探す仕組みではありません。
レインズを通じて他の宅建業者が物件情報を確認し、買主を紹介することができます。
ただし、実際の購入希望者の多くは、一般向けの不動産ポータルサイトなどを利用して物件を探しています。
そのため、売主が販売状況を確認するときは、レインズへの登録だけではなく、一般の購入希望者に向けてどのような広告活動が行われているかもあわせて確認するとよいでしょう。
レインズの仕組みと不動産売却での役割についてはこちらで詳しく解説しています。
不動産売却で問題となる「囲い込み」の仕組みと売主が確認するポイントについてはこちらで詳しく解説しています。
■一般媒介にすれば複数の不動産会社が広告してくれる?
一般媒介では、複数の不動産会社へ売却を依頼できます。
例えば、
売主
↓
A社
B社
C社
という形で、それぞれの会社が買主を探すことができます。
これが一般媒介の大きな特徴です。
ただし、
3社へ依頼
=販売力が3倍
とは限りません。
同じ物件情報が複数の不動産会社からポータルサイトへ掲載されることもあり、販売方法や広告内容について調整が必要になる場合もあります。
■一般媒介に変更するメリット
一般媒介へ変更する主なメリットは、複数の不動産会社へ同時に売却を依頼できることです。
・複数の不動産会社へ依頼できる
・各社が持つ購入希望者へ紹介できる
・不動産会社ごとの販売方法を利用できる
・売主が自ら発見した買主とも取引できる
特定の不動産会社だけに任せることへ不安がある場合には、一般媒介を検討する理由の一つになります。
■一般媒介に変更するデメリット
一方で、一般媒介にも注意点があります。
・複数の不動産会社との連絡が必要になる
・内覧日時などの調整が増えることがある
・各社へ販売状況を共有する必要が生じる
・一般媒介ではレインズへの登録義務がない
・専任媒介のような法定の定期報告義務がない
一般媒介は「多くの会社へ依頼できる」というメリットがありますが、売主側の管理負担が増える可能性があります。
■一般媒介には明示型と非明示型がある
一般媒介契約には、他に依頼している宅建業者を明らかにする「明示型」と、明示しない旨を特約する「非明示型」があります。
国土交通省の標準一般媒介契約約款では、依頼者は重ねて依頼する宅建業者を明示することを基本とし、明示しない契約とする場合はその旨を特約する仕組みになっています。
【明示型】
他に依頼している不動産会社
→ 明らかにする
【非明示型】
他に依頼している不動産会社
→ 明示しない旨を特約する
一般媒介へ変更する場合には、この違いについても確認しておきましょう。
■専任媒介を変更する前に不動産会社へ確認すること
専任媒介でなかなか売れない場合は、いきなり一般媒介へ変更するのではなく、現在の不動産会社へ販売状況を確認してみましょう。
・問い合わせは何件あったか
・内覧は何件あったか
・購入を見送った理由は何か
・レインズへ登録されているか
・他社からの問い合わせはあるか
・どの広告媒体へ掲載しているか
・売出価格は現在の相場に合っているか
・今後どのような販売活動を予定しているか
この内容を確認すると、
不動産会社の販売活動に問題があるのか
物件価格に問題があるのか
物件そのものに売れにくい原因があるのか
を判断しやすくなります。
■専任媒介から一般媒介へ変更する流れ
一般的には、次のような流れで確認すると分かりやすいでしょう。
① 現在の媒介契約書を確認
↓
② 有効期間を確認
↓
③ 販売活動の内容を確認
↓
④ 一般媒介へ変更するか検討
↓
⑤ 契約期間中なら現在の不動産会社へ相談
↓
⑥ 現在の専任媒介契約を整理
↓
⑦ 一般媒介契約を締結
↓
⑧ 必要に応じて複数社へ売却を依頼
特に重要なのは、現在の専任媒介契約を整理する前に、勝手に他社へ媒介を依頼しないことです。
■よくある質問 Q&A

1. Q. 専任媒介から一般媒介へ変更できますか?
変更できます。
専任媒介契約の期間満了時に更新せず、一般媒介契約へ切り替える方法が分かりやすいでしょう。
契約期間中に変更したい場合は、現在の媒介契約書を確認したうえで不動産会社へ相談します。
2. Q. 専任媒介は3か月経たないと変更できませんか?
必ず3か月経過するまで変更できないという意味ではありません。
契約期間中であっても、現在の専任媒介契約をどのように終了させるかについて不動産会社と合意できれば、一般媒介へ変更することは考えられます。
一方的な解除については、契約書や解除理由を確認する必要があります。
3. Q. 専任媒介中にほかの不動産会社へ依頼してもいいですか?
専任媒介契約の有効期間中は、原則として他の宅建業者へ重ねて媒介を依頼することはできません。
一般媒介へ変更したい場合は、先に現在の専任媒介契約を整理しましょう。
4. Q. 専任媒介で売れなければ一般媒介の方がいいですか?
必ずしもそうではありません。
売出価格、広告状況、問い合わせ件数、内覧後に購入へ至らない理由などを確認し、売れない原因を整理してから判断した方がよいでしょう。
5. Q. 専任媒介の期間が終わったら自動的に一般媒介になりますか?
なりません。
専任媒介を更新せず、一般媒介へ変更する場合は、あらためて一般媒介契約を締結します。
■まとめ
専任媒介から一般媒介へ変更することは可能です。
最も分かりやすいのは、
専任媒介
↓
契約期間満了
↓
更新しない
↓
一般媒介へ変更
という方法です。
一方、契約期間中の場合は、
専任媒介中
↓
勝手に他社へ依頼
と進めるのではなく、現在の媒介契約書を確認し、不動産会社と契約の終了や変更について話し合うことが重要です。
また、
専任媒介で売れない
↓
一般媒介にすれば売れる
とも限りません。
変更する前に、
・売出価格
・問い合わせ件数
・内覧件数
・広告状況
・レインズ登録状況
・他社からの問い合わせ
・売れない理由
・今後の販売方針
を確認しましょう。
媒介契約の種類を変更することだけではなく、「なぜ現在売れていないのか」を確認したうえで販売方法を見直すことが重要です。



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