確定測量ができない土地は売却できる?隣地が立会わない場合も解説

境界・土地

土地を売却しようとして確定測量を依頼したものの、

「隣地所有者が立会いに応じてくれない」

「境界確認書に署名してもらえない」
「確定測量が終わらないと土地は売れない?」
「測量できないまま売却する方法はある?」

と困ることがあります。

結論からいうと、確定測量ができない土地でも売却できる場合があります。

確定測量ができなければ法律上売買できない、というわけではありません。

ただし、買主が境界を確認できないまま購入することになるため、通常の土地売買より慎重な判断が必要です。

特に、売買契約で「売主が引渡しまでに確定測量を完了する」と約束している場合は注意が必要です。

この記事では、確定測量ができない土地を売却する方法と、隣地所有者が立会いに応じてくれない場合の対応について解説します。


■確定測量ができなくても土地は売却できる?

確定測量ができていないことだけを理由に、土地を売買できなくなるわけではありません。

買主が土地の状況を理解したうえで購入するのであれば、売買を進められる場合があります。

ただし、

・境界がどこなのか分からない
・登記面積と実際の面積に差がある可能性がある
・隣地と境界について意見が異なっている
・越境物がある
・将来、境界トラブルになる可能性がある

といった問題があるため、買主への説明は重要です。

単純に、

確定測量できない
   ↓
そのまま売却して問題ない

ということではありません。

なぜ確定測量ができないのかを確認したうえで、買主にその状況を説明して売買条件を決める必要があります。

境界確定測量とは?不動産売却で測量が必要になるケースを解説についてはこちらで詳しく解説しています。


■そもそも確定測量とは?

確定測量では、土地家屋調査士などが資料調査や現地測量を行い、隣接する土地の所有者などと境界を確認していきます。

売却する土地によっては、

・隣接する民有地
・道路
・水路
・里道
・その他の公有地

などとの境界確認が必要になる場合があります。

一方、土地を測量して現在の土地の形状や面積を確認するだけの測量と、隣接地との境界確認まで行う確定測量は同じではありません。

そのため、

「測量図がある=すべての境界が確定している」

とは限りません。

過去の測量図や地積測量図が残っている場合でも、現在の境界確認状況まで土地家屋調査士に確認してもらうことが重要です。


■確定測量ができない理由は?

確定測量が進まない理由はいくつかあります。

・隣地所有者が立会いに応じてくれない
・隣地所有者と連絡が取れない
・隣地所有者が境界位置に納得していない
・隣地が相続されており関係者が複数いる
・境界について以前から争いがある
・道路や水路などとの境界確認に時間がかかっている
・越境などの問題が見つかった

特に注意したいのが、

「立会いに来ない」のか「境界位置に納得していない」のか

という違いです。

単に日程が合わないだけであれば、再度日程を調整することで解決できる可能性があります。

一方、

「その境界位置には納得できない」

という状態であれば、単なる日程調整ではありません。

土地家屋調査士に過去の資料なども確認してもらい、慎重に対応する必要があります。


■隣地が立会ってくれないと売却できない?

必ずしも売却できないわけではありません。

例えば、買主が、

「境界確認が完了していないことを理解したうえで購入します」

と判断し、その条件を売買契約で明確にすることで売却できる場合があります。

ただし、買主からすると、

購入後に境界問題が発生しないか
希望している建物を建築できるか
実際に使用できる土地の範囲はどこまでか
越境物はないか
将来売却するときに問題にならないか

などを確認する必要があります。

そのため、確定測量済みの土地と比べて、買主が購入を慎重に判断する可能性はあります。

また隣地の土地所有者が会ってくれないケースとして、いくつか例があります。

・高齢者の一人暮らしなどで、不審に思われている
・立会いの必要性を感じていない
・立会うことで自分が不利になるのではないかと不安を感じている
・過去の境界確認や測量でトラブルになったことがある
・土地所有者同士で以前からトラブルがある
・空き家で、所有者が施設への入所や入院などにより不在となっている
・相続後、そのまま放置されている

立会いに応じてもらえないからといって、必ずしも境界そのものに異議があるとは限りません。まずは立会いに応じてもらえない理由を確認することが大切です。


■公簿売買なら確定測量は必要ない?

土地売買では、登記簿に記載されている面積を基準として売買する「公簿売買」が行われることがあります。

例えば、

登記簿面積 200㎡

売買価格  2,000万円

実際に測量した結果
198㎡だった

という場合でも、公簿面積を基準として売買し、面積の差について売買代金を精算しないという契約方法があります。

ただし、

公簿売買だから境界確認が不要になる、という意味ではありません。

面積をどのように取り扱うかという問題と、境界をどのように取り扱うかは分けて考える必要があります。

売買契約では、

・公簿面積で売買するのか
・実測面積で売買するのか
・面積差の精算をするのか
・境界を明示するのか
・確定測量を行うのか

などを確認しておきましょう。

「狭小地ではない場合」や「敷地を最大限利用して建物を建築する場合」でなければ、多少の面積差が建築計画へ大きく影響しないケースもあります。

ただし、土地の形状や建築計画、建ぺい率・容積率、セットバックなどによって影響は異なるため、購入前に建築会社などへ確認しておくと安心です。

また、面積差とは別に注意したいのが「越境」です。

越境は、「屋根の雨どい」「草木」「ブロック塀」「擁壁」「隣地住宅の基礎」「カーポート」などあれば将来トラブルになる可能性があります。越境が購入前に判明している場合は、隣地所有者と協議して解消できるか確認し、すぐに解消できない場合は、越境に関する覚書を取り交わすなどの対応を検討します。


■売買契約後に確定測量ができなかった場合は注意

ここは実務上、非常に重要です。

例えば、売買契約に、

「売主は引渡しまでに確定測量を完了し、確定測量図を買主へ交付する」

という条件が入っているとします。

ところが契約後、

隣地所有者が立会わない
   ↓
境界確認ができない
   ↓
確定測量が完了しない
   ↓
決済・引渡しの日が近づく

となることがあります。

この場合、単に「隣地が協力してくれなかったので仕方ない」と処理できるとは限りません。

売買契約で確定測量をどのような条件としているかを確認する必要があります。

土地を売却する前に、

・測量が完了する見込み
・隣地との関係
・境界確認の進捗
・売買契約から決済までの期間

を土地家屋調査士と確認しておくことをおすすめします。


■確定測量ができない場合はどうする?

確定測量が進まない場合は、まず土地家屋調査士へ「なぜ進んでいないのか」を確認しましょう。

そのうえで、

① 隣地所有者へ再度立会いを依頼する

② 過去の測量図や境界確認書を確認する

③ 現況測量などで現在の土地の状況を確認する

④ 買主へ確定測量ができない事情を説明する

⑤ 売買条件を変更して売却できないか検討する

といった対応を検討します。

隣地所有者が境界位置そのものに納得していない場合には、通常の立会いだけでは解決できないこともあります。

その場合には、土地家屋調査士などの専門家へ相談しながら対応する必要があります。


■隣地が立会わない場合は「筆界特定制度」もある

隣地所有者が立会いに応じない場合などには、状況によって筆界特定制度を検討する方法もあります。

筆界特定制度は、隣地所有者が立会いや境界確認に協力してくれない場合でも、一定の要件のもとで利用を検討できる制度です。

実際に法務局でも、

隣地所有者が筆界確認の立会いに応じてくれない

というケースを、筆界特定制度の利用が考えられる事例として案内しています。

ただし注意したいのが、「筆界」と「所有権界」は必ずしも同じものではないということです。

筆界
→ 土地が登記されたときに定められた土地の区画

所有権界
→ 所有権がどこまで及ぶかを示す境界

筆界特定制度は、所有権の範囲そのものを決める制度ではありません。

また、売却直前に利用すればすぐに解決する制度というわけではありません。申請後には資料調査、現地調査、測量などの手続が行われるため、筆界が特定されるまで一定の期間を要します。

そのため、売買の引渡し期限が決まっている場合は、筆界特定に必要となる期間も考慮し、土地家屋調査士や法務局へ早めに相談することが重要です。


■確定測量できない土地を売るときの注意点

確定測量ができないまま売却する場合は、その事実を曖昧にしたまま契約しないことが重要です。

特に、

・確定測量が完了していないこと
・完了していない理由
・確認できている境界と確認できていない境界
・既存の測量図や境界確認書の有無
・越境の有無
・売主が引渡しまでに測量を行うのか
・境界についてどのような条件で引き渡すのか

などを整理しておきましょう。

境界付近にブロック塀、フェンス、建物、樹木、配管などがある場合は、越境についても確認が必要です。

越境がある不動産は売却できる?境界・覚書など売主が確認するポイントを解説についてはこちらで詳しく解説しています。


■よくある質問 Q&A

1. Q. 確定測量ができない土地でも売却できますか?

売却できる場合があります。

確定測量が完了していなければ法律上売買できないというものではありません。

ただし、買主へ境界の状況を説明し、売買契約でどのように取り扱うのかを明確にしておくことが重要です。

2. Q. 隣地所有者が立会ってくれないと売却できませんか?

必ずしもそうではありません。

買主が確定測量未了の状態を理解して購入するのであれば、売買できる場合があります。

まずは土地家屋調査士へ、立会いができない理由や今後の対応を確認しましょう。

3. Q. 公簿売買なら確定測量をしなくても大丈夫ですか?

公簿売買と境界確認は別の問題です。

公簿売買は登記簿面積を基準として売買する方法ですが、それだけで境界に関する問題がなくなるわけではありません。

4. Q. 隣地が境界に納得してくれない場合はどうすればいいですか?

まず土地家屋調査士へ相談し、過去の測量図や登記資料などを確認します。

話し合いで解決できない場合には、状況によって筆界特定制度などを検討する方法もあります。

5. Q. 売買契約後に確定測量ができなかったらどうなりますか?

売買契約の内容によって異なります。

売主が確定測量を完了することを契約条件としている場合には、そのまま引渡しできるとは限りません。

測量が難しいことが分かった時点で、不動産会社、土地家屋調査士、買主と早めに協議することが重要です。


■まとめ

確定測量ができない土地でも、買主が状況を理解し、売買条件について合意できれば売却できる場合があります。

隣地所有者が立会ってくれない場合も、

隣地が立会わない
   ↓
土地が売却できない

と直ちに決まるわけではありません。

まず、

・なぜ立会いができないのか
・境界について争いがあるのか
・過去の測量資料は残っているか
・どこまで境界確認ができているのか
・売買契約では測量をどのように取り扱うのか

を確認しましょう。

特に注意したいのは、売買契約で確定測量を約束した後に、測量が完了できなくなるケースです。

売却前から土地家屋調査士と進捗を確認し、確定測量が難しい場合には、その状況を買主へ説明したうえで売買条件を決めることが重要です。

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