中古住宅を売却する際に、建ぺい率や容積率が現在の基準を超えていることが判明する場合があります。
「建ぺい率オーバーの家でも売却できるの?」「住宅ローンは利用できるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
結論からいうと、建ぺい率や容積率を超過している家でも売却することは可能です。
ただし、超過している理由によっては、買主の住宅ローン審査や将来の建て替えなどに影響する場合があります。
この記事では、建ぺい率・容積率オーバーの家を売却する際に確認しておきたいことを解説します。
■建ぺい率・容積率オーバーの家でも売却できる?
「建ぺい率」や「容積率」が現在の制限を超えていることだけを理由に、不動産の売却が禁止されるわけではありません。
まず、建ぺい率と容積率は次のように計算します。
建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積 × 100
※実際の計算では、床面積の不算入や建築面積の算定方法、各種緩和規定などを考慮する必要があります。
例えば、建ぺい率60%の土地に、建ぺい率70%の建物が建っているケースです。
土地面積 100㎡
建築面積 70㎡
実際の建ぺい率 70%
指定建ぺい率 60%
この場合、実際の建ぺい率は70%となり、指定建ぺい率60%を10ポイント上回っています。
ただし、建ぺい率の緩和規定が適用される場合もあるため、この数値だけで建築基準法に違反していると判断することはできません。
ただし、角地や防火地域などの条件によって建ぺい率の制限が緩和される場合もあるため、指定建ぺい率だけで超過していると判断することはできません。
■建ぺい率・容積率を超過している理由を確認する
売却前に重要なのは、なぜ現在の制限を超えているのかを確認することです。
主に次のようなケースがあります。
増築部分が未登記の場合の売却については、「未登記の増築部分がある家は売却できる?売却前に確認すること」で詳しく解説しています。
1. 建築当時は適法だった場合
建築当時は法令に適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更などによって、現在の制限に適合しなくなった建物があります。
このような建物は、一般的に「既存不適格建築物」と呼ばれます。
既存不適格建築物は、現在の制限を超えているという理由だけで、直ちに違反建築物となるわけではありません。
ただし、将来の建て替えや増改築では、現在の法令に適合させる必要が生じる場合があります。
2. 建築後の増築によって超過した場合
建築当時は制限内だったものの、その後の増築によって建ぺい率や容積率を超過しているケースもあります。
例えば、次のような場合です。
・建物の一部に部屋を増築した
・駐車場に建物を増設した
・建築確認を受けずに増築した
・増築部分が未登記になっている
このような場合は、増築時の建築確認の要否や建築基準法への適合状況を確認する必要があります。
既存不適格建築物と違反建築物では、売却時に確認すべき内容が異なります。
■建ぺい率・容積率オーバーは住宅ローンに影響する?

「建ぺい率」や「容積率」を超過している建物は、買主の住宅ローン審査に影響することがあります。
金融機関は、購入する不動産の担保価値や法令への適合状況などを確認するためです。
特に、違反増築などによって建築基準法に適合していない場合は、融資が難しくなることがあります。
一方で、既存不適格建築物の場合は、金融機関や物件の状況によって取扱いが異なります。
建ぺい率・容積率オーバーだから必ず住宅ローンが利用できないというわけではありません。
買主が住宅ローンを利用する場合は、仮審査(売買契約前の事前審査)の段階から超過の状況やその理由を金融機関へ伝えておくことが重要です。
■建て替えると今より小さな家になることがある?
現在の建物が「建ぺい率」や「容積率」の制限を超えている場合、将来建て替える際に、同じ大きさの建物を建築できないことがあります。
例えば、次のようなケースです。
現在の建物の延べ面積 150㎡
現在適用される容積率 100%
土地面積 100㎡
容積率による延べ面積の上限 100㎡
この場合、容積率の制限だけで考えると、建て替え後の延べ面積は「原則100㎡」までとなります。
ただし、実際の建築可能面積は、前面道路の幅員や各種緩和規定、その他の建築制限などによっても変わります。
売却時には、現在の建物の大きさだけでなく、将来の建て替えについても確認しておくことが大切です。
■売却前に確認しておきたいこと
建ぺい率や容積率を超過している可能性がある場合は、次の内容を確認しましょう。
・現在適用される「建ぺい率」と「容積率」
・建物の「建築面積」と「延べ面積」
・「建築当時の法令」や「区域指定」
・「建築確認済証」や「検査済証」の履歴
・「増築」や「改築」の有無
・建物の「登記内容」と「現況」の相違
・前面道路の幅員による容積率制限
特に容積率については、都市計画で定められた数値だけでなく、前面道路の幅員による制限も確認する必要があります。
また、登記されている床面積と実際の建物の面積が異なる場合は、未登記の増築部分がないか調べておきましょう。
確認した内容は不動産会社と共有し、買主に対して超過の状況や調査結果を正確に説明することが重要です。
建築確認済証がない場合の調査方法については、「建築確認済証がない家は売却できる?紛失した場合の確認方法を解説」で詳しく解説しています。
検査済証がない建物の売却については、「検査済証がない家は売却できる?ない場合に確認しておきたいこと」で詳しく解説しています。
■よくある質問 Q&A

1. Q. 建ぺい率オーバーの家は売却できませんか?
いいえ。建ぺい率を超過している家でも売却することは可能です。
ただし、超過している理由や建物の適法性によって、売却条件に影響する場合があります。
2. Q. 容積率オーバーの家は違法建築ですか?
必ずしも違法建築とは限りません。
建築当時は適法だったものの、その後の法改正などによって現在の制限を超えている既存不適格建築物もあります。
3. Q. 建ぺい率・容積率オーバーでも住宅ローンは利用できますか?
利用できる場合もあります。
ただし、金融機関によって審査基準が異なるため、超過の状況や理由を事前に伝えて確認することが大切です。
4. Q. 建て替えるときも現在と同じ大きさの家を建てられますか?
必ずしも同じ大きさで建て替えられるとは限りません。
現在の建ぺい率や容積率などの制限によって、建築できる建物の大きさが小さくなる場合があります。
■まとめ
建ぺい率や容積率を超過している家でも、不動産の売却は可能です。
ただし、建築当時からの状況や増築の履歴によって、既存不適格建築物なのか、建築基準法上の問題がある建物なのかを確認する必要があります。
また、住宅ローン審査や将来の建て替えに影響する場合もあるため、売却前に建物の状況を調べておくことが重要です。
特に、違反増築によって建ぺい率や容積率を超過している場合は、住宅ローンの審査が厳しくなり、購入希望者が限られることがあります。現金購入者を中心に販売する場合は、売却が長期化する可能性もあります。
また、違反状態を解消するために増築部分の撤去や改修が必要となる場合があります。部分的な解体では、既存建物との接続部分の補修や外壁の復旧工事などが必要となり、想定以上の費用がかかることもあります。
そのため、売却前に建築基準法上の問題点や是正方法、必要な工事費用などを確認しておくことが大切です。
建ぺい率・容積率を超過している理由を把握し、買主へ正確に説明したうえで売却を進めましょう。



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