相続した不動産は誰が売却できる?相続人が複数いる場合の注意点

相続

親や家族が亡くなり、不動産を相続することになった場合、

「相続人が何人かいるけど、誰が売却するの?」
「代表者1人で売却できる?」
「まだ亡くなった親の名義だけど売却できる?」

など、分からないことも多いと思います。

特に相続人が複数いる場合、不動産を誰が相続するのかによって、その後の売却手続きも変わってきます。

また、相続した不動産を売却する場合には、

原則として相続登記を行い、亡くなった方から相続人へ名義を変更してから売却手続きを進める必要があります。 法務省も、相続人申告登記だけでは不動産を売却できず、売却する場合には相続登記が必要と案内しています。

この記事では、相続人が複数いる場合に、不動産を誰が売却できるのか、相続登記や遺産分割協議との関係について分かりやすく解説します。


① 不動産を相続したら、まず「相続人」を確認する

不動産の所有者が亡くなった場合、まず確認する必要があるのが誰が相続人になるのかです。

例えば、

父が亡くなり、

・母
・長男
・長女

が相続人になるケースなどがあります。

相続人を確認する際には、亡くなった方の戸籍などを確認して、法定相続人を確定していきます。

相続人が複数いる場合には、誰が不動産を相続するのかを決める必要が出てくることがあります。


② 「遺産分割協議」とは?

相続人が複数いる場合に重要になるのが遺産分割協議です。

遺産分割協議とは、簡単にいうと、

相続人全員で、相続財産を誰がどのように相続するのかを話し合って決めること

です。

法務省も、遺産分割を「法律で決められた相続人が全員参加して、相続財産の分け方を決定する手続」と説明しています。

例えば、父の相続財産として、自宅:2,000万円預貯金:1,000万円があったとします。

話し合いによって、自宅 → 長男が相続預貯金 → 母・長女などで分ける

といった分け方を決めることがあります。

実際の遺産分割は相続財産全体や遺言書の有無などによって異なります。


③ 相続人の1人が不動産を相続した場合

遺産分割協議などによって、

「この不動産は長男が相続する」

と決まった場合には、その内容に基づいて長男名義への相続登記を行います。

その後、長男が所有者として不動産を売却することができます。

イメージとしては、

父名義

相続発生

遺産分割協議

長男が不動産を相続

長男名義へ相続登記

長男が売主として売却

という流れです。


④ 相続人全員で不動産を相続する場合は?

不動産を1人だけが相続するとは限りません。

複数の相続人が、それぞれ持分を持って共有名義にする場合もあります。

例えば、

長男:2分の1
長女:2分の1

という形です。

この場合、不動産全体を売却するには、共有者全員の合意が必要になります。

長男だけが、「この家を売却します」と決めて、不動産全体を勝手に売却することはできません。

共有者全員で売却条件を確認し、売買契約などの手続きを進める必要があります。


⑤ 代表者1人に任せて売却することはできる?

相続人や共有者が複数いる場合、

全員が毎回不動産会社へ行かないといけないの?」と思われるかもしれません。

実際の取引では、一定の手続きについて代表者へ委任する方法が取られる場合があります。

例えば、遠方に住んでいる共有者がいる場合などには、委任状を使用して手続きを進めることがあります。

ただし、代表者へ任せた=代表者だけの判断で不動産を売却できるという意味ではありません。

共有不動産全体を売却するのであれば、共有者全員の売却意思を確認する必要があります。

委任する範囲や必要書類については、不動産会社や司法書士などへ事前に確認しておきましょう。


⑥ 亡くなった方の名義のまま売却できる?

ここは重要です。

例えば登記簿上の所有者が父のままで、父がすでに亡くなっている場合、

亡くなった父から買主へ、そのまま所有権移転登記をすることはできません。

不動産を売却する場合には、相続登記を行って相続人へ所有権を移したうえで、買主への所有権移転登記を行う必要があります。

法務省も、相続した不動産を売却する場合には相続登記が必要と明確に案内しています。

そのため、売却を検討している場合には、早い段階で相続登記の準備を進めておきましょう。


⑦ 相続登記は義務化されている

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されています。

相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、

不動産を相続したことを知った日から3年以内

に相続登記を申請する必要があります。

また、遺産分割が成立した場合には、その遺産分割によって不動産を取得した相続人は、遺産分割成立の日から3年以内に、その内容を反映した登記をする必要があります。

正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

なお、2024年4月1日より前に発生した相続についても義務化の対象となる場合があります。法務省は、義務化前に相続したことを知っていた不動産について、原則として2027年3月31日までに相続登記をする必要があると案内しています。


⑧ 相続人の1人が売却に反対している場合は?

複数人で共有している不動産について、

「長男は売却したい」

「長女は売却したくない」

というケースもあります。

この場合、共有不動産全体を売却するには共有者全員の合意が必要になるため、1人が反対している状態で不動産全体を通常どおり売却することはできません。

そのため、売却活動を始める前に、

本当に売却するのか

いくらくらいなら売却するのか

売却代金をどのように分けるのか

などについて、関係する相続人・共有者の間で確認しておくことが重要です。

不動産会社へ査定を依頼してから家族間で意見が合わないことが分かるより、できるだけ早い段階で話し合っておいた方が売却を進めやすくなります。


⑨ 相続人が遠方に住んでいる場合は?

相続人全員が同じ地域に住んでいるとは限りません。

県外や海外に住んでいる相続人がいる場合でも、必要な意思確認や書類を準備することで売却を進められる場合があります。

ただし、

・売買契約の方法
・委任状
・本人確認
・印鑑証明書などの必要書類
・登記手続き

について事前の準備が必要になることがあります。相続人が遠方にいることが分かった段階で、不動産会社や司法書士へ伝えておくとよいでしょう。


⑩ 相続した不動産を売却するまでの流れ

一般的には、

① 相続人を確認する
② 遺言書の有無などを確認する
③ 遺産分割について話し合う
④ 不動産を相続する人を決める
⑤ 相続登記を行う
⑥ 不動産会社へ査定・売却を依頼する
⑦ 売買契約
⑧ 決済・引渡し

という流れが考えられます。

ただし、遺言書がある場合や相続人間で話し合いがまとまらない場合など、状況によって手続きは異なります。


よくある質問 Q&A

Q. 相続人が3人いる場合、1人だけで家を売却できますか?

その1人が遺産分割などによって不動産を単独で取得し、相続登記を行っているのであれば、その人が所有者として売却できます。

一方、3人の共有となっている不動産全体を売却する場合には、共有者全員の合意が必要です。

Q. 相続登記をしていなくても、不動産会社へ査定をお願いできますか?

査定を依頼すること自体は可能です。

そのため、売却できそうな金額を確認しながら、相続手続きを進めることもできます。

ただし、実際に相続した不動産を売却するためには相続登記が必要になります。

Q. 相続人の1人が遠方にいても売却できますか?

可能な場合があります。

委任状などを利用して手続きを進める方法もありますので、早めに不動産会社や司法書士へ相談しましょう。

Q. 相続人申告登記をすれば売却できますか?

相続人申告登記だけでは売却できません。

相続人申告登記は、期限内に相続登記を行うことが難しい場合に、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度です。

不動産を売却する場合には、別途、相続登記を行う必要があります。


まとめ

相続した不動産を売却する場合には、まず誰が相続人なのか、そして誰が不動産を相続するのかを確認することが重要です。

1人が不動産を相続するのであれば、その人へ相続登記を行ったうえで売却します。

複数人で共有する場合には、不動産全体を売却するために共有者全員の合意が必要になります。

また、亡くなった方の名義のまま買主へ直接所有権を移転することはできません。

相続人の確認 → 遺産分割 → 相続登記 → 売却

という流れを理解しておくと分かりやすいでしょう。

相続登記は2024年4月1日から義務化されていますので、売却予定がまだ決まっていない場合でも、相続した不動産の登記状況は早めに確認しておきましょう。

この後の記事展開としては、私は**「相続登記とは?」を次に作る**のがよいと考えます。今回の記事から自然に内部リンクでき、相続カテゴリーの基礎記事としても使えるためです。

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